切り込み量に対する刃先丸みの影響

はじめに

切削加工では多くの研究が積み重ねられ,最近では切込みが1µm以下の超精密切削加工は日常的に行われるようになりました.一方,このオーダの加工単位での切削現象は従来行われてきた普通切削の場合とは異なっており,その解明が十分に行われているとは言えません.これまでの研究において工具の刃先丸み半径の大きさが,切削抵抗やせん断角,仕上げ面あらさをはじめ,切削ばりや加工硬化層の生成などに影響を及ぼすことが分かってます.そこで,刃先丸み半径の大きさが切削挙動に及ぼす影響について考えていこうと思います.

刃先丸みとは

実際の工具刃先には摩耗等によって生じる丸みが存在します.これを刃先丸みと言います.通常の切削加工では,その影響は無視できますが,微細精密切削加工では無視できません.

刃先丸みと密接に関係する影響因子

・押しならし等の名前で知られる現象によって逃げ面に接する形で刃先稜線の通過後も除去できない部分が生じる.

・工具の切れ刃が丸みを帯びると,弾性回復により寸法精度が悪化し,バリが発生しやすくなり,表面層が硬化する.

・複合材料の切削加工では,仕上げ面あらさが悪化する原因となる.

参考文献

  1. 切削加工における加工硬化層の生成機構https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic1979/68/671/68_671_2175/_pdf/-char/ja
  2. 微小切込みにおける2次元切削現象に関する研究

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2008S/0/2008S_0_1041/_pdf

  3. 微小切込みにおける2次元切削現象に関する研究-切込み量に対する刃先丸みの影響-

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsat/53/9/53_9_560/_pdf