A7075
A7075について
現在,自動車産業や航空機産業などの様々な分野において「低燃費」をテーマにあらゆる材料部品の軽量化が進められています.しかし,軽量化の際には高剛性化も求められ,強度を保ったまま行う必要があります.この流れを受けて,鉄鋼材料の比重の1/3で高強度であるA7000系アルミニウム合金への転換が図られています.特に,超々ジュラルミンと言われているA7075合金は,アルミニウム合金の中でも最高レベルの強度を持っています.
A7075の化学成分
成分規格 | |||||||||
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Si | Fe | Cu | Mn | Mg | Cr | Zn | Ti | その他 | Al |
0.40以下 | 0.50以下 | 1.2〜2.0 | 0.30以下 | 2.1〜2.9 | 0.18〜0.28 | 5.1〜6.1 | 0.20以下 | 0.05以下
(計0.15以下) |
残部 |
・JIS H 4000 : 2014より抜粋
A7075合金(Al-Zn-Mg-Cu系)は,強度を高めるためにZnとMg,Cuを添加しています.
A7075の物理的性質
融点 (℃) |
密度 (g/cm³) |
ヤング率 (縦弾性係数) |
剛性率 (横弾性係数) |
ポアソン比 | 線膨張率 (ppm/K) |
定圧比熱 (J/kg・K) |
熱伝導率 (W/m・K) |
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GPa | GPa | ||||||
477~635 | 2.8 | 71.6 | 26 | 0.33 | 23.6 | 962 | 130 |
A7075の機械特性(質別:T6)
項目 | 値 |
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ブリネル硬さ(HB) | 150 |
引張強さ(N/m㎡) | 570 |
耐力(N/m㎡) | 505 |
せん断強さ(N/m㎡) | 330 |
疲れ強さ(N/m㎡) | 160 |
伸び(%) 板 | 11 |
伸び(%) 棒 | 9 |
アルミニウム合金の疲労強度
アルミニウム合金は,高温環境下で引張荷重が負荷されるときき裂が発生しやすくなることが知られています.さらに,清水中での疲労強度が大気中に比べて1/2~1/3程度まで大きく低下することが報告されているので,鉄鋼材料以上に湿度の影響を受けやすいことが推察されます.